エリクソン発達心理学📖
子育てをする上で、子どもの心を知るきっかけとなる心理学は大変役立ちます。
最近話題になっている心理学でいうと『アドラー心理学』で、いろいろな書籍が出ておりますが、今回はエリクソンを紹介します。
エリクソンはアメリカの心理学者で、アイデンティティの概念をつくった方ともいわれています。
その中で、エリクソンは「自我」の発達を8つの段階に区分した『心理社会的発達理論』を提唱しました。
人間の一生を8つの段階にわけ、その段階ごとに心理的課題と危機、課題達成により獲得する要素などを分類しました。
そもそも人間は、生涯のどの時期においても発達し、どの段階においてもクリアすべき課題と障害となるものが存在すると考え、そして、障害を乗り越えた時に得られるものも定義されています。
【0歳~2歳(乳児期)】基本的信頼感 vs 不信感
乳児期には、親(特に母親)と過ごす日々の中で様々な感情(安心、喜び、不快、不安、恐怖など)を持ちます。
その中で、母親が抱っこしたりおむつを交換したり、しっかりと不快や不安のような負の感情を取り除くことで、子は母親に基本的信頼感を得ることができます。
基本的信頼感を獲得することができた子どもは、希望を持ち、今後出会う様々なものを「信じる」ことが可能になります。
それに対し、この時期に十分にケアしてもらえないと、安心感が持てず、自己肯定間や自信もなくなり、自分に対しても他人に対しても不信感が高まります。
この時期に芽生えた不信感は払しょくすることが難しく、その後の人生に大きく影響するため、この時期はたくさんスキンシップをして、基本的信頼感をしっかり育むことが非常に重要といわれています。
【2歳~4歳(幼児前期)】自律性 vs 恥、疑惑
幼児前期では、「意志」を得ることが課題です。
この時期は、子どもが身体的にも精神的にも成長して、自己主張をしたり自分の意思で行動できるようになってくる時期になります。
逆にやんちゃをして怒られるなど、乳児期のようにありのままを受け入れてもらえなくなります。
失敗したり、怒られたりしたらどうしよう、自分にできるのかなと不安になるのが自律性を得る段階で出てくる課題です。
その不安を自律性に変え、自分でやってみる、やりたいとなればクリアです。失敗しても自分自身を受け入れてくれる環境が自律性を育みます。
逆にこの時期に過剰に干渉されたり、頭ごなしに叱られると、子どもは自分の行動にどんどん自信をなくし、恥・疑惑を取得します。
子供を信じて自由にやらせてあげる場面を作ること、イライラしても頭ごなしに怒らないでゆっくり向き合って問題を一緒に解決する姿勢が大切です。
【4歳~5歳(幼児期後期)】積極性 vs 罪悪感
この時期の子どもは「目的」を得ることが課題です。
この時期は、自分の意思で行動する一方で自制心が育まれていき、ルールを守ったり、両親や友達に合わせたりできるようになります。
恐れを知らない子供たちは様々なことに果敢にチャレンジしていく自発性が高まる時期ですが、しかし、失敗して叱られたり失望されたりするのではないかという恐れや罪悪感を感じるようになります。
この時期に両親や先生などが子供を他の子と比べすぎたり、怒りすぎると、自発的に行動することが苦手な子になってしまうので注意が必要です。
【5歳~12歳(児童期)】勤勉性 vs 劣等感
学校に入り、集団生活に適応していく児童期・学齢期は、座学として一気に勉強量が多くなる時期でもあります。
周りの友人などを見ていて、自分が劣っていると感じる場面もあるはずです。
そのため、この時期の発達課題は「勤勉性と劣等感」です。
しかし、自分は劣っているからと諦めるのではなく、負けないように自分も頑張ろうと努力することで劣等感がなくなり有能感が得られます。
そして自分にもできるんだという自信も得られます。
勉強が苦手な子もいますが、それによって周囲に認められない経験が積み重なると、自信喪失により劣等感を募らせていきます。
劣等感が募ることで、友達関係や学力など様々なところに影響を及ぼし、不登校になる可能性も高まるため、その子の良いところや得意なことを見つけて伸ばしてあげることが大切です。
これ以降は、項目だけご紹介します。
【13歳~19歳(青年期)】同一性 vs 同一性の拡散
【20歳~39歳(初期青年期)】親密性 vs 孤独
【40歳~64歳(青年期)】生殖 vs 自己吸収
【65歳~(成熟期)】自己統合 vs 絶望
人は誰しも、人生の段階に応じて壁にぶつかり、課題に向き合う必要があります。
エリクソンの発達段階は、それぞれの時期にしか身につけられないものではないと言うのも特徴です。
気づいた段階から変えることができるので、「自分はダメかもしれない」と考える必要はありません。
また、親としても「なぜ、子どもがそのような行動をとるのか?」と感じた時のヒントとなるかもしれません。
気になる方はぜひ「エリクソン発達心理学」で調べてみてくださいね。