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教育コラム『こでまりの教育観』 - 社福法人愛佳会 こでまりこども園天王寺

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教育コラム『こでまりの教育観』

カテゴリ: お知らせ 作成日:2024年11月26日(火)

先日、文部科学省の調査で2023年度(令和5年度)の不登校の児童生徒数は、全国の小中学校で約34万6,000人で過去最多を記録した、というニュースを見ました。前年度から約16%増え、11年連続で増加となったようです。

不登校の定義自体が自治体によって異なっているため、この結果全てを鵜呑みにすることはできませんが、それでも非常に多い数字だと思います。

 

皆さんはこの結果を見てどう思われたでしょうか?
自分の子は大丈夫、うちにはあまり関係ないと思った保護者もいらっしゃるかもしれません。
ただ個人的な体感で申し上げると、残念ながらどの子も不登校になる可能性はある、と感じています。

 

なぜか?
理由はシンプルで、それは学校の教育システムが今の時代に合っていないからです。
もう少し詳しく述べるなら、近年子どもたちの学びや発達の多様性が顕在化している中、今の教育システムはあまりにも柔軟性に欠けており、そのシステムからこぼれ落ちてしまう子どもが残念ながら年々増えている、というのが実状です。

 

余談ですが、今の教育システムは、熊本大学の苫野一徳先生の言葉を借りると、「同じことを、同じペースで、同じようなやり方で、同質性の高い学年学級制の中で、出来合いの問いと答えを勉強するベルトコンベア型のシステム」といえます。
このシステムは約150年前の明治時代にイギリスから日本に入り、今に至るまで大きく形は変わっていません。当時の時代背景だったり、知識などを教えるには非常に『効率的』なやり方ですが、昨今の変化が激しい世の中で、正解がない問題に直面していく社会においては、残念ながらあまり役に立たないやり方です。

 

このような状況の中で、こでまりでは一つ明確な教育観を持って、保育にあたっています。
それは、このような変化が大きな時代では「何を学んでおけばよいか」の予測が難しく、知識や技能はすぐに古くなり役に立たなくなる。そんな時代を生き抜いていかないといけない子どもたちは「何を」学んだのかより、自分に合った「学び方」を学ぶ=「学ぶ力」が重要になる。そのために、子どもたちが自己を表現し、安心して挑戦できる環境を整え、他者と協働しながら学び合う力を育む。子ども一人ひとりの発達特性を理解し「困った」ではなく「大丈夫」に変える支援を行う、という保育を行なっています。

 

最近の色々な研究結果をみても、幼少期に読み書き(認知能力)を重視した教育をしたとしても、小学1-2年生ぐらいまでは他の子より勉強ができるが、3-4年生ぐらいになると他の子と大差がなくなり、それ以降は下手をすれば平均以下になることがある、と言われています。逆に社会的情動(非認知能力)を重視した教育を受けた子は、長期的な学習成果を得やすいという研究結果があります。
※ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授による「グリット」に関する研究、ジェームス・ヘックマン「幼児教育の経済学」など

 

先述の不登校の問題も、不登校になる理由は多様ですが主に学業不振が占める割合が大きいと言われています。しかし、学業不振は子どもたちの発達特性を理解し、子どものみならず親や先生がその子にあった学び方を理解できれば多くは回避できる問題だと考えています。※村中直人「ラーニングダイバーシティの夜明け」より

 

子どもの幸せを考えない保護者はいない(と信じたい)ですが、保護者自身の教育観が、本当にその子にとって幸せにつながるものなのか、一度見直してみることは必要です。

こでまりでは、全ての子どもが幸せに生きていくために、根っこである乳幼児期の教育を一番大事に考えています。

 

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